ほんまもんの食の情報をお届けする、ほんまもん教室。滋賀県大津市のプロムナード青山内にある「ほんまもん市」の店主である野田さんを教授としてお迎えしています。第4回目の講義テーマは、日本の食文化と密接な関係がある大豆とお米。国産大豆が少ない理由。低価格のお豆腐のつくり方や、化学肥料を使っていないお米の見分け方に迫ります。

日本の食文化について考えてみませんか

みなさんは、お米と大豆の共通点は何だと思いますか。まず1つはつくる場所。どちらも基本的に田んぼでつくられています。そしてもう1つは、どちらも日本の食文化の根底にかかわる問題だということ。お米は言うまでもありませんが、今私が特に問題だと感じているのは大豆です。大豆がなくなれば味噌や醤油をつくることもできません。全部を海外からの輸入品に頼って良いのでしょうか。

ー国産大豆が減っている大きな理由は「採算が取れない」から

vol.4 日本の食文化の根底にある大豆とお米。その現実とは。

例えば、お米が1反につき10俵収穫できるとしましょう。JAの買取価格だとしても約13万円。一方滋賀県産の大豆の場合、多めに見積もっても1反3俵。価格もお米よりも安く、全く採算が取れません。しかし輸入大豆の価格は1kg20円、30円という世界です。ほんまもん市で販売している国産無農薬の大豆は、1kg800円。これだけ見ても、1丁あたりの豆腐の値段が大きく違うことがわかると思います。

また、昔は各家庭で大豆をつくり、味噌をつくっていましたが、今ではその風習もほとんど残っていません。慣行農法の国産大豆はともかく、国産無農薬大豆自体はこのまま行くと数年先にはなくなる可能性があります。

1丁100円以下でも豆腐が販売できる理由

一般のスーパーに足を運ぶと、1丁100円以下の豆腐が販売されています。どうしてこんなに低価格の豆腐をつくることができるのでしょうか。それは、輸入大豆の使用だけが理由ではありません。豆腐は薄めれば薄めるほど量が増えますが、薄めた分風味はなくなってしまう。だから風味を良くするためにグルタミン酸ソーダ、いわゆる化学調味料や、大豆油をとった後のカスである脱脂大豆を入れます。

そして、薄めているのでにがりでは固まらなくなるため、凝固剤を入れる。今の凝固剤は性能が良いですから、水以外のほとんどのものを固めてくれます。そして加工中に泡立って、すが入ることを防ぐために、消泡剤を入れる。こうして低価格の豆腐がうまれるというわけです。

ー添加物の表示義務はあるけれど・・・

「添加物を入れた場合、表示義務があるのでは?」と思う方がいるかもしれませんが、ここにも裏技があります。例えば、1つの豆腐の会社を2つに分けるとしましょう。Aという会社は豆乳の会社、Bという会社は豆腐の会社。そうすると、Aの会社の原材料表示義務は、Bの会社にしかありません。私たち消費者の目に届くことはないのです。

まともに豆腐をつくったら、1丁300円でも利益を出すのは厳しい。ほんまもん市で販売している豆腐は、私が有機大豆を集めて無償で提供し、委託加工という形を取っています。それができるのは、ネットワークがあるからですが、一般のお豆腐屋さんや企業が同じことをするのは難しいでしょう。

お米の歴史と玄米について学びましょう

vol.4  日本の食文化の根底にある大豆とお米。その現実とは。
今のお米のつくり方は「水稲」ですが、縄文時代は「陸稲」。おかぼと呼ばれるつくり方でした。簡単に言うと、籾をばらまいて出てきたところから収穫する、今で言う自然農に近い形です。それが、沼地を使うようになり、平地を耕して水をためるようになり、水田の形に近づいて行きました。今私たちが古代米と呼ぶ赤米や黒米はこの頃に食べられていたもの。今の玄米の形になったのは室町時代ですし、白米を食べるようになったのも江戸時代の中期以降。白米を食べるという歴史自体は、まだまだ浅いと言えます。

ー玄米=健康的と言えない理由と、化学肥料を使わないお米の見分け方

玄米=健康的というイメージがあるかもしれませんが、向く人・向かない人がいるのは事実です。そもそも、昔は米と味噌、米とわずかなおかずという食生活。今のように豊富に新鮮な野菜が手に入ることもありませんから、玄米の栄養が大事でした。確かに玄米はビタミンやミネラルが豊富ですが、膜がある分胃腸が弱い人には向きません。遺伝的な関係で体内に玄米を消化できる酵素を持っていない人もいますから、一概に玄米=いいとは言えないのです。

いつも私は食品を簡単に見分ける方法はないと言いますが、お米には化学肥料を使って栽培されたかどうか見分ける方法があります。それは「糠」を食べること。化学肥料が使われたお米の糠は、苦みがあります。ほんまもん市でも精米サービスを行っていますが、うちの糠は甘くて香ばしい。食べ比べてみると一目瞭然ですよ。

今日のおさらい

・国産大豆の量が減っているのは、採算が合わないため
・添加物が表記されていないから、使われていないとは言えない
・玄米=健康的とは言い切れない。合う・合わないは個人差がある
・化学肥料が使われているお米の糠には苦味がある


今、日本食を食べることができるのは当たり前。いつかそれが当たり前でなくなる日が来るかもしれません。情報だけを鵜呑みにするのではなく、自分で考えるきっかけとしてこの記事を役立ててくださいね。

次回のテーマは「種のおはなし」

次回更新は10月20日の予定です。お楽しみに!