暦の上では8月から「秋」がスタート!

秋の食養生

秋とは立秋(8月8日頃)から立冬(11月8日頃)までの3ヶ月を言います。
蒸し暑い夏から徐々に涼しくなり日が短くなっていく秋は、陽盛から陰盛へと向かう重要な時期。今はまだ暑さが残っているため実感が沸きにくいですが、自然は確実に移ろい変化しています。私たちは自然の一部。身体の中も自然と同じく変化しています。寒さ厳しい冬を快適に乗り切るためにも、日々の過ごし方はもちろん、季節に合わせた食事へとシフトチェンジしていきましょう!

ー中医学の視点から見る「秋」の特徴と身体の変化

黄金色の稲穂からも想像できるように、秋は五行で「金」と表される実りの季節です。高湿度の夏から、徐々に空気が乾燥していく季節でもあります。中医学ではこの時期の自然界の邪気(病気の原因とされるもの)を「燥邪(そうじゃ)」と呼び、身体に侵入すると様々なトラブルの原因になると考えられています。

「燥邪」とは…
①乾燥性の性質があり、体の水分を奪いやすい
症状:鼻、喉、髪、肌の乾燥・抜け毛・便秘
②「肺」を傷つけやすい
症状:空咳・喘息・痰が少ない・痰に血が混じる・胸の痛み

ー秋に活発に働く五臓は「肺」

肺は全身の「気」の動きを調節し、呼吸、水分の代謝をコントロールしています。全身の気・血・水(津液)を調節するまさに司令塔!
肺の働きの状態は肌や髪に現れます。働きがいいと潤ってつやつやしていますが、逆に悪いとつやのないパサパサとした状態に。

そして肺はとてもデリケートで傷つきやすいので、先ほどの「燥邪」が入ってくるとたちまち調子を崩し、呼吸器系のトラブルの元となります。また、肺と表裏関係にある六腑「大腸」にも影響するので便秘などが起きやすくなるといわれています。

ー秋の憂うつは普通なの!?

秋になると何となくもの悲しく憂うつな気持ちになりやすいですよね。季節の感情を表す五情でも、秋は「悲・憂」で表されます。これは、陽の気が旺盛な夏から、陰が旺盛な冬への変わり目だから。憂い悲しむことで気を消耗し、肺も傷つけます。ブルーだなと感じたら、秋はそういう感情の時期なんだと受け入れて、穏やかに過ごすよう意識しましょう。

また、夏疲れが出てくるのも今の時期の特徴。夏は自然と睡眠が浅くなり、身体がゆっくりと休まらない時期でもあります。その分、秋は早寝早起きを心掛けて!睡眠をしっかりキープすることも心の安定を保つ大切な要素です

秋の食養生が冬の体調を決める!

暑い夏を乗り切るため、みなさんは身体をクールダウンさせる食べ物や冷たい飲み物をたくさん摂ったのではないでしょうか。その時は快適に過ごせたかもしれませんが、既に秋に入っている今、同じ食事を続けると冬の冷えに悩まされやすくなります。そろそろ胃腸の疲れも出てくる頃。

秋の食養生のポイントは、脾胃(消化器官)を養うことと、肺を傷める乾燥を防ぎ、潤いを与えること。身体の中から潤わせることで肌や髪の美しさへと繋がります。暑さが残る秋分前と、晩秋へと向かう秋分後では、選ぶ食材も少しずつ変わってきます。

効果別!積極的に「秋」に食べたい食材

秋の食養生
●胃を養い、身体の水分(津液(しんえき))を生じさせるもの(初秋におすすめ!)
食材:キュウリ・トマト・レンコン・豆腐・白きくらげ・白胡麻・梨・りんご・キウイフルーツなど
※白きくらげ、白ごま以外は、涼・寒性なので秋分以降は控えめに。初秋でも冷え性の人は火を加えて食べるのがおすすめです。

●身体の水分(津液(しんえき))を補い、肺を潤すもの
食材:白ごま・松の実・百合根・卵・牛乳・豆乳・杏仁・白きくらげ・クコの実 など

●気を補い脾胃(消化器官)を養うもの、肺を温めるもの 
食材:米(特に新米はgood!)・もち米・くるみ・蜂蜜・鶏肉・牛肉・きのこ類・栗・なつめ・かぼちゃ・さつまいも・いわし・さんま・さばなどの魚類 など
※夏疲れをとり冬を乗り越える身体を作ります!

「秋」には控えたい食材

●辛み・スパイシーなもの 
食材:シナモン・山椒・コショウ・クローブ・フェンネルなどのスパイス類
※発散作用があり水分を消耗し乾燥をひどくします。

ネギ、ショウガ、唐辛子、にんにく、酒などは、初秋(秋分以前)は少なめに使ってくださいね。寒さが強くなる晩秋にかけて少しずつ取り入れていくようにしましょう。

One More Lesson:「呼吸のおはなし」

薬膳と呼吸って何か関係あるの?実はあるんです!普段無意識に行っている呼吸。秋の五臓である肺が大切な役割を司っています。身体の中ではどんなことが起こっているのでしょうか?

●息を吐く時
脾から送られた栄養分や水分を、吐くことで全身に送り出し肌の表層に栄養を与えます。この時、衛気(えき)(中医学で言う「気」の一種で、抵抗力や免疫機能のこと。皮膚や粘膜に存在するとされる。衛気がしっかり保たれていると風邪やインフルエンザなど外側からの影響を受けにくい)を体表に巡らし、身体を守ります。

●息を吸う時
新鮮な空気を取り込むことで身体に元気を充填。脾から送られた栄養分や水分を臓腑に運び栄養をもたらします。また、吸う時に呼吸器官の老廃物を取り除きます。
この働きがうまくいかないと腎と膀胱に送られた水分の排泄にも支障が出てきます。

ーとっても簡単な呼吸の2ステップ

①鼻から深く吸う
②鼻からゆっくりと吐く

ー呼吸を大切にすると起こるいいこと

・肌と髪が潤う!
・体の免疫力がアップし風邪をひきにくい身体に!
・身体がじんわり温まる!
・リラックスする!

特に女性には嬉しいことばかりですね!意識しないと呼吸はどうしても浅くなりがち。慣れるまでは丁寧な呼吸を意識するだけで、効果を実感できると思います。
秋は、食事と呼吸セットで、「肺」をいたわりましょうね。

次回は「冬の食養生」について教えていただきます。お楽しみに!