森:前回の「薬膳のきほん」と「梅雨の時期の食養生」は、いかがでしたか。梅雨が開け、いよいよ本格的な夏の到来です。梅雨のジメジメムードから一転、活動的になる季節ですが、急激な気温変化に身体が戸惑ってしまうことも。今回は、そんな夏も楽しく乗り切るための方法をご紹介します。

薬膳の力で夏を乗り切る方法とは?

森:二十四節気において、立夏(5月6日頃)から立秋(8月8日頃)までの3ヶ月間は陽の気が最も盛んな時期です。自然界では「咲き栄える季節」とも言いますが、人間にとっての夏は、身体の中に熱がこもり汗をかくことで水分不足になる季節。

その結果、血流に影響し動悸・脱力・不眠を引き起こすだけでなく、水分不足により「気」も消耗してしまいます。これがいわゆる夏バテ。気の消耗を防ぐために激しいスポーツは控えましょう。同時に眠りも浅くなりやすい季節ですから、10~20分ほど昼寝の時間をつくることもおすすめです。

この時期ならではの、感情の変化や気をつけたいポイントを教えてください。

暑さは「心」の働きを活発にします。イライラしたり怒りっぽくなったり、情緒不安定になりやすい時期。クールダウンさせるためには「涼性」「寒性」の食材を摂りましょう。ただし、冷房で冷えている身体には熱を加えて温めた食材を。本来の食材が持つ冷やす性質が弱まります。また、香り高く身体を温める食材の青じそや生姜、ミョウガは薬味としても活用を。

同時に、暑さで消費した「気」を補うには「補気類」と呼ばれるお米やじゃがいもが◎。夏はつい素麺に手が伸びがちですが、素麺の原料である小麦は涼性の食材。冷え性の人は食べ過ぎに注意しましょう。

夏を乗り切るオススメ食材

●熱を取り除き、夏の暑さから身体を守るもの
白菜、セロリ、葛根、ナス、ゴーヤ、レンコン、空心菜、りんご、茶(緑茶など)、バナナなど

●体の水分を補い、喉の渇きを改善するもの
キュウリ、トマト、ズッキーニ、豆腐、白ごま、梨、スイカ、キウイフルーツ、メロンなど

●暑さで消耗した「気」を補うもの
かぼちゃ、じゃがいも、米、インゲン、鶏肉など

●収れん(引き締める、引き込む)作用で、多汗による水分不足を抑えてくれるもの
調味料として使うレモン、お酢、梅干しなどの酸味(但し冷え性の人、虚弱体質の人はとり過ぎに注意)

夏に控えたい食材は「辛味」

唐辛子などのスパイシーな食材は、身体に熱をこもらせる原因に。また、水分を発散させてしまうためたくさん摂ることは控えましょう。

今日のレシピ

夏野菜の邪気払いマリネ

夏野菜をたっぷり使ったレシピの紹介です。

暑い夏を乗り越えるために

・身体の中の熱を冷ますもの(清熱)
・身体に適度な水分を与えてくれるもの(生津)
・暑さにより気を消耗しやすいので気を補うもの(補気類)
・夏の高湿度に効果的な湿を取り去る作用のあるもの(去湿類)
・収れん作用のあるもの(酸味)

をバランス良く摂れる材料を使っています。レシピの中でも、もう少し詳しく説明しているので是非ご覧くださいね。

レシピはこちら

最後に

実際に身体を動かし、農作業をすることで、季節や食べる食材を通じた身体の変化を体感されている森先生。私たち一人ひとりも、まずは自分の身体や体質と向き合うことが大切です。そして、身の回りに溢れている情報に惑わされず、バランスを大事にすることが夏を乗り越える一歩と言えるでしょう。

次回は「秋の食養生」について教えていただきます。お楽しみに!