ほんまもんの食の情報をお届けする、ほんまもん教室。滋賀県大津市のプロムナード青山内にある「ほんまもん市」の店主である野田さんを教授としてお迎えしています。第2回目の講義テーマは多くの人が毎日のように飲んでいる「お茶」。オーガニックな野菜よりも、オーガニックなお茶を目にする機会が少ない理由とは?今日はお茶と農薬の関係、オーガニックなお茶が少ない理由についてみんなで考えてみましょう。

お茶の発祥の地「滋賀」

身体に良さそうな「お茶」の落とし穴。

まず、あまり知られていないお茶の歴史から。約1200年前に、最澄は中国から持ち帰ったお茶の種を、滋賀の比叡山山嶺と信楽朝宮に植えたとされています。つまり滋賀県は、お茶発祥の地。宇治茶よりも400年以上前には、すでに現在の滋賀県でお茶が栽培されていた。なんだか誇らしいですよね。

また滋賀県は、お茶の栽培に適した気候と土壌を持つ土地と言われています。日本の五大銘茶産地のひとつ、風味豊かな「朝宮茶」や、県下最大の産地で濃厚な味が特徴の「土山茶」、「宇治は茶所、茶は政所」という言葉が受け継がれている「政所茶」をはじめとして、今も県内各地域では、それぞれの風土を活かしたお茶が栽培されています。

お茶と農薬の関係は?

さっそく本題に入りましょう。みなさん、お茶の葉が緑色をしているのは、どうしてだと思いますか。それは、葉緑素があるからですね。その葉緑素の中に入っているのは、窒素と炭水化物。植物は、窒素を使って葉をつくるため、窒素肥料をたくさん土に入れることで、たくさんの葉がつくられて行きます。

お茶は、お茶の木の葉を収穫するもの。葉が多くつくのは一見いいことのような気がしますが、窒素肥料を使えば使うほど、病気も出やすくなり、虫もつきやすくなってしまう。そうすると、自然と農薬を使う量が増えます。そのため、お茶に認められている農薬散布は、年20回。これは野菜よりもずっと多い回数です。

ーお茶は洗わないからこそ気をつけたい

身体に良さそうな「お茶」の落とし穴

実際にお茶に使われている農薬は、殺虫剤と殺菌剤がブレンドされたもの。さらに雨が降っても流れないように展着剤も入っています。ブレンドすることで、どんな化学反応が起きるのかということもはっきりわかっていません。

そして、何よりも気にかけて欲しいことがひとつあります。野菜は食べる前に洗いますが、お茶を洗う人はいませんよね。お茶農家が葉を摘み蒸して乾燥したものを、私たちはお湯で煮出して飲んでいる。このときに農薬がお湯にとけ出す可能性はゼロとは言い切れません。

オーガニックのお茶が少ない理由とは

お茶でも野菜でも、1番難しいのはすでに農薬や肥料が含まれた土をオーガニックな栽培方法に切り替えること。特にお茶の場合は木ですから、毎年生えかわるわけではありません。1回消毒をやめたら全部葉が食べられてしまう。

今、農薬や化成肥料を使う慣行農業を行っている人が無農薬のお茶の生産に切り替えるには、最低3年間は無収入になるくらいの覚悟が必要です。お茶の木を新しく生まれ変わらせることはそれくらい難しい。オーガニックのお茶が少ないのは事実ですが、現在滋賀県では農薬や化成肥料を使わないお茶農家も増えています。

子どもに飲ませたいお茶の種類とは?

身体に良さそうな「お茶」の落とし穴。

子どもに飲ませたいお茶の種類の前に、まず多くの人が誤解していることをお伝えしましょう。みなさんは「番茶=ほうじ茶」と思っていませんか。お茶の新芽を収穫するのは、5月から7月ごろ。それから夏をすぎて硬くなったお茶の葉を番茶と呼ぶため、緑茶もほうじ茶も番茶の一種。ほんまもん市で販売している「秋冬番茶」を一度見てください。中身は緑茶です。

新茶はカフェインが多い、番茶はカフェインが少ないから子どもに飲ませるなら番茶だという説が出回っています。でも、カフェインと農薬、どちらが子どもに影響を与えるものでしょうか。農薬とカフェインを同じ立ち位置で考えることは避けて欲しいですね。もし、無農薬のお茶の中でどのお茶が良いかと聞かれたら、秋冬番茶がおすすめです。

ー親も子もまずは本物を知って欲しい

そもそも緑茶は、とても酸化しやすいもの。煎れて30分も経てば味が変わってしまいます。それなのに、ペットボトルのお茶がずっと同じ色を保つことができるのは酸化防止剤が入っているから。ビタミンCという表記になっていますけどね。

親も子も、まずは本物を知ることが大切です。。本物を知ることで、異質なものは舌が排除してくれる。ただ人間の身体には、適応能力もありますから、全てをオーガニックにすることだけが良いとは思いません。でも、毎日飲むお茶だけは、特にしっかり選んで欲しいと思います。

今日のおさらい

・お茶の葉をたくさん収穫するために肥料を増やすと、病気になりやすいため農薬の量が増える
・無農薬のお茶が少ないのは、木を生まれ変わらせるためには年月がかかるから
・特に子どもには無農薬のお茶を。その上でカフェインの量を気にするなら、秋冬番茶がおすすめ


消費者である私たちの身近にあるお茶。しかし、あまり意識することなく、毎日口にしているものだからこそ、そして野菜と違って洗わないものだからこそ、他の野菜以上に、農薬や化成肥料について学ぶ必要があるのではないでしょうか。

次回のテーマは「卵のおはなし」

野田教授には、ほんまもん市店主以外にもうひとつの顔があります。それは「養鶏農家」。次回は、養鶏農家だからこそわかる「卵の色や味の違い」から「ほんまもんの卵の選び方」まで、卵の秘密に迫ります。

次回更新は8月19日の予定です。