竹内シェフあらため所長(お野菜研究所)、初回のレクチャーをスタートする前に、日々どのように野菜と向き合っているのかいくつか教えていただきたいと思います。まずは、料理の中心に野菜を置くようになったきっかけを教えてください。

竹内:東京での勤務時代、築地御厨で自然栽培の野菜の味の醍醐味を知ったことがきっかけですね。私はマクロビオティックでも何でもなく色々な食材を食べますが、力強い野菜にはたんぱく質に変わる満足感があることを知り、野菜中心の料理を作るようになりました。これは、僕のひとつの強みだと思っています。

野菜と向き合う上で、一番大切にしていることは何ですか。

竹内:材料を理解するということですね。例えば、野菜の旬を知ることもそうですし、野菜の仕組みを理解し、切り方や食べ方を考えることもそのひとつです。全然、科学的根拠はありませんが、理解することそのものが料理をおいしくしてくれると信じています。

知らなかった野菜のあれこれが、たくさん出てきそうですね。なんだか、開けたことのない扉を開けるような、ワクワクするような感じがします!では所長、早速レクチャーをお願いいたします。

第一回のテーマ食材は「アスパラ」です。

竹内:みなさん、アスパラの旬は知っていますか?日本全国で言うと4月から6月の3ヶ月間。その中でも最初の「出はじめ」、中盤の「盛り」、終わりの「名残り」の3つに分かれます。主な産地は、北海道と長野県。土壌や環境によっても味が変わりますが、同じ圃場でも、時期によってアスパラの状態は違うんですよ。状態に合わせて、切り方や調理方法を変えるといいと思います。

まずは、「切り方」から考えてみましょうか。

竹内:野菜が水を吸い上げる場所である「導管」を、どう扱うかということが重要なんですね。
出はじめの頃のアスパラは、これからどんどん成長していこうという状態なので、皮は薄く導管もまだまだ細い状態です。切るときも、表面の皮をピーラーで削るくらいで大丈夫。でも名残りの頃には、種を残すために自分の身を守ろうとします。皮は厚く硬くなり、導管は太くなっている状態です。縦に近い状態で、斜めにスライスして導管を傷つけないように切りましょう。

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次は、「調理方法」を考えてみましょう。

竹内:みなさん、普段は料理に合わせて茹でたり炒めたりしていると思いますが、これもアスパラの状態に合わせて考えてみると面白いですよ。

出はじめは茹でるよりも炒め、名残りは茹でて水分を足す。出はじめのアスパラは、とてもみずみずしいので、茹でると水っぽくなってしまうんですよね。なので、炒める方がアスパラ本来のおいしさを味わえます。逆に、名残りの頃のアスパラは水分が少ない状態ですから、水を足すという意味で茹でてください。もし、名残りのアスパラを炒めものに使いたい場合は、軽く下茹でし、水分を足してから炒めてみてください。

なるほど。まずはアスパラがどんな状態にあるのかしっかり見てから、切り方や調理方法を考える、ということですね。でも、どういう状態が良いアスパラなのか、わかりません。おいしいアスパラの見分け方や基準を教えて欲しいです。

竹内:良いアスパラを選ぶためのコツは、ふたつ。穂先がふっくらとしているもの。そして、はかまと呼ばれている三角形の部分がキレイな正三角形であるものを選びましょう。

ちなみに穂先と呼ばれている部分は、上からはかま3個分くらいまで。この部分までは柔らかく食べることができます。また、保存する時は畑にある状態に近づけることがポイントです。アスパラの場合は、立てておきましょう。

今日のまとめ「アスパラ編」

旬:4〜6月
切り方:出はじめ=ピーラーで薄く皮をむく。名残り=導管を傷つけないように縦に近い形でスライス
調理方法:出はじめ=茹でるよりも炒める。名残り=茹でて水分を足す。
見極め方:穂先ふっくら。はかまは正三角形のものを。

今日のレシピ

では、今日のレクチャーを活かしたレシピを紹介します。

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竹内:今日使うアスパラは出はじめのものなので、炒めものに向いています。今回はソテーしてから漬け込むという調理法で、シンプルな料理、マリネをつくりましょう。レシピはアスパラだけにしていますが、玉ねぎやきのこ類を入れてもいいですね。夏野菜が出てきたら、茄子やパプリカ、オクラでつくってみてください。とびっきりおいしいですよ。

レシピはこちら

最後に

竹内:食について、もっと関心を持ってもらえたらいいなと思います。でも、僕が言っていることは理想論です。僕は仕事ですから当たり前にやっていますが、正直みなさんこんなに野菜と向き合えるほど暇じゃない(笑)。ただ、それもちゃんとわかった上で、食とちゃんと向き合って欲しいと言う願いも込めて、お伝えしていこうと思います。

竹内所長、ありがとうございます。野菜に対しての見方が変わりました。知っているか知らないか、ただそれだけで野菜を見る目はこんなに大きく変わるものなのですね。次回もよろしくお願いいたします。